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全国200カ所以上で行われ、今や夏の風物詩としてすっかり定着した感のある薪能。
漆黒の闇に燃えるかがり火の炎が、演者と舞台をほのかに照らし、観る者を幽玄の世界へと誘います。なかでも当神社で毎年8月3日に行われる「八ヶ岳薪能」は、八ヶ岳山麗という大自然と神池に浮かんだ能舞台群という絶妙なロケーションによって、地元の愛好家のみならず、全国的にその名が知れ渡っています。そもそもこの「八ヶ岳薪能」は、当神社の例大祭前夜の宵宮として行われ、神様に奉納するお神楽としての意味を持ちます。そのため、演能に先立つ舞台浄め祓い式が独特の形式で行われるのも大きな見どころです。
当日は日が落ちると共に、神職による「篝火(かがりび)点火の儀」が行われ、迫りくる宵闇の中、神火が明々と映えわたり、それを映す水鏡という幻想的な雰囲気が醸し出されます。皆さんには薪能ならではの自然と舞台が一体となった荘厳さと、日本の精神伝統文化の奥深さを十分に満喫していただけると存じます。