北杜市明野町、久しぶりにcamino natural labの上原寿香(よしか)さんを訪ねると、彼女の研究所(ラボラトリー)はさらに進化していた。自ら手を入れて、制作しているというその空間は、ワークショップで繰り広げられる、お客様との問答を引き立てるように、引き算の美学が貫かれているように思う。
今日も台の上には、15〜6個くらいの白い容器が用意されていて、中にはつい先日まで、庭にあったハーブや花、葉、そして木の実。それぞれがこの辺りの湧水の美味しい水に浸り、美しい色を放っている。こうしてまずは視覚から、八ヶ岳セレクション用のブレンドが始まる。
読者を代表して私がお客様となり、この季節にぴったりなフレーバーをつくりだしていく。さらに、香りと味わい。差し出されたスプーンにひとくちとって、感覚をフルに使って味わい、感想を述べていく。うんうんとうなずく寿香さん。
そして、何度もテイスティングしながら、うんうんとうなずき、アイテムを絞っていき、ついに内容が決まった。題して、「やがてやって来る春を感じるお茶」! のどをいたわるリコリス、つい冬の始まりの頃まで、庭にあったラズベリーの葉。勢い盛んな姿が記憶に新しいフェンネルに、忘れてはいけない体を温めるジジャー、そして最後にさりげなく春を感じる梅の花。
ベストな配分を求めて、さらに感覚を研ぎ澄ませテイスティングを経て、最終的に「これですね!」と、満面の笑の寿香さん。ぜひ、この季節にこの『野香茶』を八ヶ岳セレクションで。